イベントレポート「電子国家エストニアを通してブロックチェーンの未来を見る【TTT.12】」
2019/02/01、株式会社GIGさんが開催している「Tech Trend Talk #12」に参加してきた。その内容を以下にまとめる。
電子国家エストニアを通してブロックチェーンの未来を見る【TTT.12】 - connpass
なぜ参加しようと思ったのか
- 「エストニアではe-Residencyという電子住人になれる。すごい」という漠然としたイメージはあったが、実際にエストニアで働く人の話を聞いて、その肌感を知りたかった
- ブロックチェーンと聞くと、暗号通貨(仮想通貨)の話しかぱっと思いつかないので、エストニアでどのようにブロックチェーンが利用されているのかを知りたかった
まとめ
電子国家エストニアでは、ブロックチェーン技術を社会基盤に組み込み、その基盤を用いた行政サービスを既に20年以上も運用している。その結果、行政サービスの99%は電子化されているという驚くべき仕組みが成立している。
エストニアを電子国家足らしめているのは、xRoad分散型データベースとGuardtime提供のKSIブロックチェーン技術、そしてそれらを紐付けるe-ResidencyID(e-ID)の3つです。
各省庁、行政などに保存されているデータは複製されることなく、各々で管理しているデータベースに分散して保存されている。それらをセキュアに連携できる基盤がxRoadです。このxRoadのデータにアクセスする際には、KSIブロックチェーンによって、第三者機関に依存しない書き換え不可のタイムスタンプが付与される。このKSIブロックチェーンとe-IDにより、誰が、いつ、何のデータにアクセスしたのかが一目瞭然となる。
日本では仮想通貨としての一面しか注目されていないが、それはブロックチェーンの一部でしかないことに気付かされた。
インターネットが世界で当たり前になったように、いずれブロックチェーンも当たり前の世界となり、ブロックチェーンを基盤とした社会にアップデートされる可能性が高い。ブロックチェーンは、人口減、制度疲弊などさまざまな課題大国日本での解決策のひとつになると感じた。
今まで昔ながらのルールに沿って生きてきた。ブロックチェーン導入に伴い、そのルール自体を変革していくフェーズだと考えると、一気に法律が自分ごとのように思えてくる。ブロックチェーンとその関連技術が変えていく社会に少しでも携わってみたいので、注目していきたい。
メモ書き
以下、イベントのメモ書きです。 Scrapbox > 電子国家エストニアを通してブロックチェーンの未来を見る【TTT.12】 にも殴り書きしています。
- ブロックチェーン = 「書き出すことしかできないデータベースみたいなもの」という理解をされている方が多い
- 日本では、ブロックチェーンの一部である「仮想通貨」しか見てない
- 世界でもっともブロックチェーンの活用が進んでいるのがエストニア
blockhive
- blockhiveが目指すもの – blockhive Japan – Medium
- bridging the gap between the present and the future
- blockhiveでは1つのブロックチェーンに拘っている訳ではない(1つに依存してしまうとリスクが大きい)
- ブロックチェーンは、社会自体をUpdateするもの
Estonia
- 世界で一番最初の電子政府(20年以上の実績あり)
- 人口130万人、1,500の島で構成されている
Blockchain in Digital Nation
- 99%の行政サービスがデジタル化されている
- できないのは、結婚・離婚・不動産。できない理由は技術的な要因ではなく、モラルの問題
- エストニアを電子政府国家たらしめているのは、以下の3つの要素がある
- X-road(データ連携基盤): 分散型データベース
- e-ResidencyID: 全ての個人情報は個人IDに紐付く
- guardtime: KSIブロックチェーン
- 病院での診察情報も全て個人IDに結びついているので、病院が変わったとしても担当の先生が患者の情報にアクセスして、診察を行うことができる
- 情報にアクセスする際、先生も個人IDを利用するため、閲覧したという事実は残る(改ざん不可)
- もちろん閲覧拒否もできる
- 中央集権である政府を信用しなくてもよい。テクノロジーを信用する
- 構成要素はオープンソース
- 個人のエンパワーメント
- 個人情報は個人のもの
- エストニアでは、国家としてブランド戦略が決められている
- 大きな戦略から、文字のスタイル、フォントまで
- エストニアは、国家自体がスタートアップマインドを持っている
- 勉強会に、理事会の偉い人が参加していたりする
Why Estonia
- e Goverment
- e-Regidency
- ESTCOIN
- エストニアの国内では、マーケットがないため、最初からグローバルに目を向けている
- 若い人は外へ出て行ってしまう。そのときに、選挙権がなくなってしまうのは問題
- だから、電子投票が可能にした
- 中央集権である政府を信用しなくてもよい。テクノロジーを信用するというスタンス
- 社内の稟議を通すときに利用している
- 実は、同じ契約があった場合、電子と紙では、電子の方が正となる法律は日本で可決しているそうだ
- はんこは元々日本の文化でもないのに、日本の文化がーーーってなってる
古くて新しい手法
- Old way
- 以下の資金調達方法は信用・実績のないベンチャーには利用できなかった
- 株式
- 銀行融資
- 社債
- 以下の資金調達方法は信用・実績のないベンチャーには利用できなかった
- New way
- 以下のようにVCを通さない方法が出てきた
- クラウドファンディング
- P2Pレンディング
- ICO
- Future way
- Initial Loan Procurement
参考
- 2019-02-01 電子国家エストニアを通してブロックチェーンの未来を見る【TTT.12】|suwa-sh|note
- 電子国家エストニアの超簡単まとめ。 – blockhive Japan – Medium
- エストニアで起業・政府のアドバイザーになった日本人が語る、「これからの働き方」とは – Yuriko Saito – Medium
- エストニア政府が採用する「KSIブロックチェーン(KSI署名)」とは – manaboo.com 電子政府ブログ