『データ視覚化』とは何か 〜「データ視覚化のデザイン」「データビジュアライゼーションの教科書」から『Data Visualization』を読み解く〜
Data Visualization
は、日本語だとそのまま「データビジュアライゼーション」や「データ視覚化」と呼ばれています。
このデータビジュアライゼーション(データ視覚化)とは何を指すのか。どんな意味で用いられるのか。データビジュアライゼーション(データ視覚化)を効果的に行うためにはどうすべきか。
このような疑問に自信を持って答えるために、下記2つの本を読んだのでまとめみます。
データビジュアライゼーション(データ視覚化)とは
「 データビジュアライゼーションの教科書 」の言葉を借りるならば次の表現になります。
- 文字と数字で表されるデータを、チャートを用いて表現すること
- データから読み取れる事実・発見をいかに理解しやすい形で相手に伝えるかというコミュニケーション(情報伝達・対話)
もう少し踏み込むならば「 データ視覚化のデザイン 」で述べられている下記表現になるでしょうか。
- データの中に潜む重要な情報を、人間の視覚 - 認知脳神経が検出しやすくなるようにデータの表現を変換すること
- 人間の視覚情報処理の特性を意識し、情報の伝達を行うもの
「可視化」と「視覚化」は何が違うのか
素朴な疑問として「可視化と視覚化は何が違うのか」という疑問が浮かびました。「 データビジュアライゼーションの教科書 」では可視化と視覚化を以下の使い分けをしています。
- 可視化
- 見えないものを見えるようにする
- 視覚化
- ただ見えるようにするだけでなく、その内容や意味をより分かりやすく・理解しやすくする
- 「可視化」よりも高次元の概念でありアートとサイエンスの両面が密接に関わっている
つまり、「データ可視化」は見えていなかったものを見えるようにすることであり、「データ視覚化」はより高次な概念として見えるようにするだけでなくその内容や意味を分かりやすく・理解することを指すようです。
「 データ視覚化のデザイン 」「 データビジュアライゼーションの教科書 」の両書においては、上記の意味合いであえて「データ視覚化」という言葉を使っていると理解しました。もちろん人によっては「データ可視化」という言葉をただ見える化するだけでなく、より踏み込んだ意味で利用している場合もあります。その言葉を使っている人がどういう意味で使っているかはよく判別しないといけないですね。
人が理解しやすい表現(認知的負荷を下げる)とはどういうことか
何か新たな情報を人が受ける時、人の脳には認知的負荷が掛かっているといいます。
馴染みのない新しいダッシュボードを見た時に「これは何なのか」「どういう意味なのか」「この数字の定義は何か」など、人は脳をフル回転させながらデータを読み取ろうとします。 しかし、このように本質的ではない部分に脳のリソースを取られてしまい、そのデータが何を意味しているかという本質的な情報にたどり着くまでにヘトヘトになってしまいます。
よって、人が理解しやすい表現にするためには認知的負荷を下げる必要があります。そのためには視覚属性を意識することが重要です。
Data Saber認定試験を受けられた方には、馴染みの深い視覚属性ですが、あまりピンとこない方は以下の動画を見ると理解が進むはずです。
データビジュアライゼーション(データ視覚化)のデザイン
デザインは先天的に持つセンスだけではなく、後天的に理論を学ぶことで改善できる。理論を学べばある程度見れるものが作れると私は考えます。
そういう意味でもこの2冊には、チャートやダッシュボードの作成に関する理論が惜しみなく紹介されており、大変参考になります。
特に「 データビジュアライゼーションの教科書 」では、なぜそのチャートがダメなのか。もっとより良くするためにはどうすればよいのかを具体的な指摘があり、自分の作ったチャートを見直すキッカケとなりました。
読んだ。Before/Afterの違いを解説している章が参考になった。自分が作成するグラフがなぜ見辛いのか、なんとなく見辛いのはわかるのだけれど、なぜダメなのかを指摘してくれるのでありがたい。
— めがにい (@meganii) November 10, 2019
「データビジュアライゼーションの教科書」https://t.co/olxTJ5f1U9
チャートを作るときには、手元において置きたい2冊です。
データビジュアライゼーション(データ視覚化)の神髄「Keep it simple, stupid」
「Keep it simple, stupid. 徹底的にシンプルにする」。徹底的に無駄なものを省き、何を残して何を捨てるか。伝えたいことを明確にすること。 プログラマなら聞き覚えのあるKISSの法則は、データ視覚化においても重要です。
データ視覚化のデザイン では「Clutter(ごちゃごちゃしている状態)を回避すべき」として、例えば以下の工夫が挙げられています。
- 値を直接表示することで軸ラベルを削除
- 不要な罫線を削除
- (見れば意味がわかる)凡例を削除
- 外枠の削除
- 棒グラフの色を減らす
ついつい、いろんな情報を乗せてしまいたくなる気持ちを抑えて、本来は何を伝えたいのかを考えた上でとことんシンプルにしましょう。
まとめ
データビジュアライゼーション(データ視覚化)とは、文字と数字で表されるデータを、人間の視覚情報処理の特性を意識してより理解しやすい視覚データにエンコードして情報の伝達(コミュニケーション)を行うこと。
コミュニケーションの相手には他者だけはなく自分自身も含んでいます。自らがデータと向き合い、データから意味を見出すときにもデータビジュアライゼーション(データ視覚化)は用いられるのです。
参考
Related contents
BOOK
2020.04.28
TECH
2020.05.25
TECH
2020.05.20
TECH
2020.05.08
TECH
2020.03.23
TECH
2020.03.20
TECH
2020.03.06
TECH
2020.02.27